腰痛や肩こりは「痛い場所」が原因とは限らない?|ジョイント・バイ・ジョイント理論を解説

「デスクワークが続くと、いつも同じ場所の腰が重くなる」

「肩をもみほぐしても、数日経つとまたパンパンに張ってしまう」

「スクワットをするとき、なぜか腰ばかりに力が入ってしまう」

このような悩みを感じたことはないでしょうか。

痛い場所や重だるい場所があると、私たちはつい「その場所そのもの」に原因があると考えがちです。

しかし、どれだけそこをほぐしても違和感が繰り返される場合、その場所は「ほかの関節の動きを補うために、必要以上に頑張っている場所」なのかもしれません。

今回は、パーソナルトレーニングの現場で身体の動きを考える際にも役立つ「ジョイント・バイ・ジョイント理論」を、できるだけ専門用語を使わずに分かりやすく解説します。

目次

この記事で分かること

  • 痛みやコリがある場所そのものに原因がない場合がある理由
  • 身体にある「動く関節」と「支える関節」の役割
  • 腰痛や肩こりを考えるときに、周辺の関節に注目する理由
  • 日常生活やトレーニング前に意識できるポイント

結論|痛い場所だけを見るのではなく、周りの関節にも目を向ける

身体の関節には、それぞれ得意な役割があります。

大きく分けると、

  • しっかり動くことが得意な関節
  • ブレずに安定して支えることが得意な関節

の2つです。

そして身体全体を見ると、これらの役割がある程度交互になるように配置されています。

例えば、本来「動くこと」が得意な関節が、運動不足や長時間の同じ姿勢などによって動きにくくなるとします。

すると、その隣にある「安定して支えること」が得意な関節が、本来以上に動いて不足した動きを補おうとすることがあります。

その結果、特定の場所に負担が集中し、張りや違和感につながることがあります。

つまり、違和感を感じている場所だけを見るのではなく、その周辺に「本来の役割を十分に果たせていない関節がないか」を考えることが大切です。

ただし、これはあくまで身体の動きを考えるための一つの考え方です。

実際の痛みにはさまざまな要因が関係するため、「痛い場所の隣に原因がある」と単純に決めつけることはできません。

なぜそうなるのか?|関節にはそれぞれ役割がある

人の身体を足元から上に向かって見ていくと、それぞれの関節が異なる役割を担っていることが分かります。

身体の各関節について、まずは大まかな役割を整理してみましょう。

関節・部位主な役割動きにくくなると起こりやすいこと
足首(足関節)歩行やスクワットなどで、足を適切に動かす膝や股関節などが動きを補うことがある
膝(膝関節)身体を支えながら、曲げ伸ばしを行う足首や股関節への負担が増えることがある
股関節前後・左右・回旋など、多方向に大きく動く腰などが動きを補い、負担が集中することがある
腰(腰椎)体幹を支え、身体を安定させる必要以上に曲げたり反ったりしてしまうことがある
胸・背中(胸椎)呼吸や身体をひねる動作などに合わせて動く首や肩、腰などが動きを補うことがある
肩甲骨腕の動きと連動しながら、上半身を支える首や肩周辺に負担が集中することがある
肩(肩関節)腕を前後・左右・回旋方向に自由に動かす肩甲骨や首周辺の動きに影響することがある

この表からも分かるように、身体には「動くことが得意な場所」と「安定して支えることが得意な場所」があります。

身体は、一つの関節だけで動いているわけではありません。

複数の関節が協力し、それぞれの役割を果たすことで、スムーズな動作が生まれます。

よくある例|股関節が動きにくいと、腰が頑張りすぎる

例えば、床にある荷物を持ち上げるときや、スクワットをするとき。

本来は、身体の大きな関節である股関節をしっかり使って身体を折りたたむ動きが必要になります。

しかし、長時間のデスクワークなどによって股関節周辺が動きにくくなっていると、身体は不足している動きを別の場所で補おうとすることがあります。

その一つが腰です。

股関節が十分に動かない状態で無理に身体を動かそうとすると、腰が必要以上に曲がったり反ったりすることがあります。

その結果、腰周辺の筋肉などに負担が集中し、腰の張りや違和感につながることがあります。

この場合、腰だけをマッサージしたり、ストレッチしたりするのではなく、

「股関節はしっかり動いているか?」

という視点を持つことが大切です。

もちろん、腰の違和感にはさまざまな原因があるため、すべての腰痛が股関節の硬さによって起こるわけではありません。

あくまで、身体の動きを見直すときの一つの視点として考えてみましょう。

具体的にはどうすればいい?|「動かす場所」と「支える場所」を整理する

ジョイント・バイ・ジョイント理論を日常やトレーニングに取り入れるとき、考え方はシンプルです。

① 動くべき関節を適切に動かせるようにする

ストレッチやモビリティワークなどを使って、動きにくくなっている関節を適切に動かします。

例えば、

  • 胸椎を動かす
  • 股関節を動かす
  • 足首を動かす

といったアプローチがあります。

② 支えるべき場所を安定させる

動かすだけではなく、必要な場所を安定させることも重要です。

体幹トレーニングや適切なフォームでの筋力トレーニングなどを通して、身体を支える能力を高めていきます。

つまり、

「どこでも柔らかくする」のではなく、「動くべき場所は動かし、支えるべき場所は支える」

という考え方です。

肩こりや首の張りが気になる場合

肩や首が張っていると、つい首や肩そのものを強く揉みたくなります。

しかし、長時間のデスクワークなどで胸椎周辺が動きにくくなっている場合、肩や首がその動きを補っている可能性もあります。

そのため、

首や肩だけを何度も揉むのではなく、胸椎がしっかり動いているかを確認する

という視点も役立ちます。

例えば、胸を開くストレッチや、胸椎を動かすモビリティワークなどを取り入れてみるのも一つの方法です。

腰の違和感が気になる場合

腰が重いからといって、腰だけを何度もひねったり、強く反らしたりする必要があるとは限りません。

腰への負担を減らすためには、

  • 股関節が適切に動いているか
  • お尻を使えているか
  • 体幹を安定させられているか

といった周辺の動きにも目を向けてみましょう。

例えば、スクワットやお辞儀の動作では、腰から動くのではなく、股関節から身体を折りたたむ感覚を意識することがポイントになります。

よくある間違い・注意点

「痛い場所=原因」と決めつけてしまう

「腰が痛いから腰が悪い」

「肩が凝るから肩の筋肉が弱い」

このように、違和感がある場所だけを原因だと決めつけてしまうことがあります。

もちろん、痛みのある場所そのものに問題があるケースもあります。

一方で、周辺の関節や身体の使い方が関係している場合もあります。

そのため、痛い場所だけではなく、身体全体の動きを見ることが大切です。

「硬い=悪い」と考えて、どこでも柔らかくしようとする

「身体は柔らかければ柔らかいほど良い」と考えてしまう人もいます。

しかし、これも必ずしも正しいわけではありません。

身体には、しっかり動いてほしい場所がある一方で、安定して支えてほしい場所もあります。

例えば、腰を必要以上に動かすことが身体にとって良いとは限りません。

大切なのは、

「柔らかければいい」ではなく、「必要な場所が必要な方向に動き、必要な場所が安定していること」

です。

痛い場所を無理に大きく伸ばしたり、ひねったりする

「腰が重いから、腰を思い切りひねってみよう」

「肩が張っているから、首を大きく回してみよう」

このように、違和感のある場所を強く動かしたくなることがあります。

しかし、痛みや違和感がある状態で無理に動かすと、症状を悪化させる可能性があります。

特に、強い痛みやしびれ、急激な症状などがある場合は、自己判断で無理にストレッチやトレーニングを行わず、医療機関への相談を検討してください。

まとめ|身体は「部分」ではなく「つながり」で考える

身体の痛みやコリがあると、どうしても「痛い場所」に目が向きます。

しかし、身体は一つひとつの関節が独立して動いているわけではありません。

複数の関節が協力し、それぞれの役割を分担しながら一つの動作を作っています。

今回紹介した考え方をシンプルにまとめると、

  • 動くべき関節は、適切に動かす
  • 支えるべき関節は、安定させる
  • 違和感のある場所だけでなく、周辺の動きにも目を向ける

ということです。

ただし、ジョイント・バイ・ジョイント理論だけですべての痛みや不調を説明できるわけではありません。

大切なのは、「痛い場所=必ず原因」と決めつけるのではなく、身体全体の動きや関節同士のつながりにも目を向けてみることです。

「自分の場合は、どこの関節が動きにくくなっているんだろう?」

そんな疑問が浮かんだら、ぜひ次回のトレーニングでトレーナーに声をかけてみてください。

身体の動きを一緒に確認しながら、より快適にトレーニングを続けられる方法を探していきましょう。

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